1)マウスMR1の単離及び解析:我々は、今回、完全なマウスMR1cDNAを単離し、解析した。発現を調べると、ヒトの場合と同じく全般的に発現量が少ないが、種々の臓器での発現が観察された。染色体位置は、FISHにより、1番染色体であることが明らかとなった。2)MR1に対する抗体の作成:マウスMR1分子のGST融合蛋白質、またはC末端ペプチドに対する抗体を作製した。これらの抗体は、大腸菌で発現させたMR1とWestern blotで反応することが確認された。現在、作成した抗体を用いて、蛋白レベルでの実験を進めている。また、モノクローナル抗体の作成、ヒトMR1に対する抗体を用いた実験も予定している。3)ヒトMR2の発現及び解析:MR2は、MR1を単離する過程で、新たなMHC類似遺伝子断片として発見された。ヒトのcDNAライブラリーより、MR2クローンを単離し、解析を行なった。また、ヒトgenomicライブラリーより、genomicクローンを単離し、解析を行なった。Northern blot解析により、MR2は、様々な臓器で発現していることが示された。MR2の染色体位置は、FISHにより解析した結果、6p22であることが明らかとなった。我々が発現したMR2と、最近、Federらが単離したhaemochromatosisの原因遺伝子と考えられるHLA-Hが、同一の遺伝子であることが明らかとなった。4)マウスMR2の単離及び解析:ヒトMR2を基に、マウスcDNAクローン及びgenomic DNA断片を単離して解析を行った。マウスMR2は、FISHの解析結果より、13番染色体に存在することが明らかとなった。マウスMR2は、他の遺伝子と共にMHC領域が存在する17番染色体からtranslocationにより13番染色体に移動したと推定される。この例は、ヒト、マウスの相同なMHCクラスI関連遺伝子が、一つがMHC領域近傍に、他方がMHC領域とはかけ離れた領域に存在することが明らかとなった初めての例である。
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