研究概要 |
1.染色体転座点周囲の物理地図の作成 3番染色体よりアプローチを開始し、3p22付近に存在するコスミドマーカー7個のオーダーをマルチカラーFISH法を用いて決定した。その結果、テロメア側よりcCI3-1379-1387-1359-1444-837-874-1202と決定した。次に、患者染色体を用いてFISHを行うことにより、これらのマーカーと転座点の位置関係を決定した。これらの結果より転座点はcCI3-837とcCI3-1444の間に存在することが示唆された。次に、これら2つのマーカーを用いてCEPHのYACクローンをスクリーニングし転座点を含むYACクローンを単離した。 2.転座点を含むコスミドクローンの単離 この転座点を含むYACクローンのDNAを用いてコスミドライブラリーを作成した。これらのクローンのなかでE540は、患者DNAを用いたサザンハイブダイゼーションにおいて正常人には認められない変異バンドを示した。この変異バンドはPstIまたはPvuII,BamHI,SacIにて切断された患者DNAに各々認められたことから、このコスミドクローンが患者の転座点に相当する部位を含んでいることが示唆された。 現在残る2番、8番染色体上の転座点をクローニングするために、E540をプローブとして患者DNAより作成したコスミドライブラリーのスクリーニングを行っている。また転座により切断されている遺伝子を単離するために、転座点を含むコスミドクローンの全塩基配列を決定し、GrailやHexonなどのプログラムによって予測されたエクソン部分をプローブとして、cDNAライブラリーのスクリーニングを行う予定である。そして、得られた遺伝子が他の患者で変異を起こしているかどうかを検索し、てんかん・自閉症の原因遺伝子を同定する。
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