研究課題/領域番号 |
08283213
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三木 哲郎 大阪大学, 医学部, 助教授 (00174003)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1996年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | ウェルナ-症候群 / ポジショナルクローニング / DNAヘリケース / 老化 / 遺伝子診断 |
研究概要 |
1989年から家系の収集を開始し、ウェルナ-症候群(WS)の原因遺伝子の単離同定を目的として研究を続けていたが、ワシントン州立大学との共同研究で、原因遺伝子そのもの(WRN)を決定した。WRNのmRNAは、約5.8kbの大きさで、発現は調べられたすべての組織で認められ、特に膵臓、胎盤、筋肉、心臓で多くみられた。翻訳された蛋白(162kD)は1432個のアミノ酸から成る酸性蛋白であった。またWRN蛋白は多くのDNAヘリケースと高い相同性が存在し、ヘリケースのアミノ酸配列に共通に保存されている7つの配列からなるヘリケース・モチーフを中央約1/3(アミノ酸:540-963)の部分に保持していたため、WRN蛋白はヘリケース蛋白の一つと考えられた。 日本人患者の遺伝子解析で、6種類以上の新たな変異を見出したが、それらの変異部位はヘリケース・モチーフを含むWRNの様々な部位に存在していた。いずれの変異も、蛋白の翻訳が中途で停止するタイプであり、WRN蛋白産物の機能が消失することが、本疾患の発症原因であると考えられた。同じ部位の変異をもつ個体間では、臨床症状には偏りは認められなかった。また、ヘリケースドメインの前後の異なった変異を持つ個体間の表現型は同じであった。 また、二つの遺伝子変異について、WRN座位を中心に2.0-3.0cMに渡ったマイクロサテライト多型を用いてハプロタイプを作成した。その結果、この二つの変異に関しては、創始者効果が存在することが明らかとなった。さらに、その創始者染色体は全国に均等に分布することより、古い時代に発生した遺伝子変異であると考えられた。遺伝子が単離同定されたことより、既知の変異に関しては新しいWS患者の変異の同定や、保因者診断、出生前診断が可能になった。
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