研究概要 |
本研究では次の3点について成果を得た。 (1)いじめの状況に関する素データファイルの完成とデータベースの構築 平成8年度では、全国の国公立の小学校5年生から中学3年生を対象として層化無作為抽出法によって標本集団を構成し、単式学級250学級、複式学級50学級、計300学級を抽出し、アンケート調査を実施した。平成9年度の、第一の成果は、次の5種類のグループについて素データファイルを作成し、データベース化したことである。なお、日本においては、これまで代表性のある標本集団による全国的なデータはなく、本調査が初めての試みであり、この領域の研究にとってきわめて貴重なデータとなる。データのグループは単式学級の(1)有効回収児童生徒6,906人、(2)その保護者6,798人、(3)その標本学級に関わる担任、教科担当等の教師2,211名、(4)対象とし学校の属性調査220校、(5)児童生徒票のいじめの実態に関する基本的な変数を学級ごとに集計した学級集団データファイル220学級である。また、これらのデータグループは相互に対応させることができるように配慮されている。 (2)いじめの実態と発生メカニズムの解明 本研究では、分析を以下の3領域に分けて分析し、いじめの実態と発生メカニズムに関する多くの知見を得ることができた。 (1)児童生徒のいじめの実態の解明-児童生徒のいじめの発生率、様態、被害・加害状況等に関する基礎的な実態統計データを得ることができた。 (2)学校生活におけるいじめの状況-児童生徒のいじめの被害加害状況を学級の雰囲気、教師の認知や取り組み、学校の属性等との関連で明らかにした。 (3)家庭生活と児童生徒のいじめの状況-児童生徒のいじめの状況を家庭における保護者の子どもへの関わり方等との関連で分析し、いじめの被害加害状況において保護者の果たす役割を明らかにした。 (3)研究成果の公表と刊行 上記の(2)について報告書を作成し、教育行政、学校現場等の教育関係団体や関係者、研究者へ配布した。また、平成10年度においては、上記の分析をさらに重ね学会等において結果を公表していく予定である。
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