研究課題/領域番号 |
08300012
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
本田 武司 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60029808)
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研究分担者 |
山崎 伸二 国立国際医療センター研究所, 室長 (70221653)
武田 多恵 国立小児病院医療研究センター, 部長
吉田 真一 産業医科大学, 教授 (60128113)
五十嵐 隆 東京大学, 医学部・付属病院, 講師 (70151256)
小熊 恵二 岡山大学, 医学部, 教授 (00002262)
竹田 多恵 国立小児病院医療研究センター, 部長
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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キーワード | 腸管出血性大腸菌 / O157 / 疫学調査 / 病原性 / 治療・予防 / 迅速診断 |
研究概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)とその感染症に関して、疫学、病原性、診断、治療の各方面から総合的に研究を展開した。疫学;岡山県の成牛40頭のうち、8頭がVero toxin (VT)用PCR陽性で、1頭からO157が分離された。また、静岡市および浜松市衛生試験所で1987-1996に分離したEHECについて検出状況を集計した。さらに生化学てき性状、薬剤感受性、遺伝子学的解析をおこなった。ヒト、家畜のO157に対するLPS抗体価測定、食品、環境等のEHEC汚染状況調査をおこなった。ウシ糞便10/1115,牛枝肉4/1048が陽性であった以外はいずれも陰性であった。1996年、国内で起こった集団発生事例に対してアンケートによる実態調査をおこなった。病原生; VTによる腎障害の動物実験モデルとしてラットの片腎動脈内へのVT投与を試みた結果、腎障害モデルとしての有用性示された。ウサギを使った動物モデルでVTの中枢神経障害作用のメカニズムの解析をおこなった。VTをウサギ耳静脈投与として血液脳関門同様、髄液脳関門の破壊も見られ、VTの中枢神経への直接的な作用が示唆された。幼若ウサギの動物モデルとしての可能性を検討する目的で、幼若ウサギにVTを耳静脈投与後、体重、神経症状、下痢症状、血液像、BUN、臓器重量の変化を観察した結果、ヒトでの症状に類似した傾向が観察され、モデルとしての有用性が示唆された。マウス腎臓の病理組織学的観察により、VTによる障害部位の特定を試みた結果、尿細管がVTに強い感受性を有していることを明らかにした。診断;迅速で正確なVTファミリー遺伝子検出法としてミックスプライマーを用いたPCR法を開発した。VT遺伝子の簡易・迅速・安価検出法トシテ酵素標識オリゴヌクレオチドプローブを開発した。トロンボモジュリンは血管内皮細胞の障害で遊離されるため、患者検体について調べたところ、血清中トロンボモジュリンが溶血性尿毒症症候群(HUS)の検査指標の一つになりうると考えられる結果を得た。EHEC感染による血便中には好中球の増加が見られないという特徴があるため、好中給の指標であるラクトフェリンを測定したところ、迅速・簡易にEHEC感染か否かの判定ができる方法として有用性が示された。糞便中のVTおよびO157を検出するELISAキットの評価をおこなった。治療;ウサギ耳静脈VT投与実験において、髄空内に抗VT抗体を投与することで中枢神経障害の出現を予防できた。抗菌剤投与の功罪を検討する一方法として、抗菌剤のVT産生に及ぼす影響を調べた結果、最も多く投与されたフォスフォマイシンは、VT1の産生および培地中への放出を促進するということを明らかにした。
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