研究分担者 |
大内 雅利 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60147915)
黒柳 晴夫 (黒柳 春夫) 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (80097691)
山本 英治 東京女子大学, 現代文化学部, 教授 (50086261)
高田 滋 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50137478)
柄沢 行雄 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70161255)
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配分額 *注記 |
8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1997年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1996年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
1995年以降,沖縄県では,日米安保体制の要求する基地の移設に対しての反対運動が広がった。とりわけ,宜野湾市普天間基地の候補地とされた北部の名護市では,賛成・反対に意見が大きく分裂して,住民投票が行われた。結果は後者が勝利して,日米政府の計画が頓挫した。この反対運動,投票,その後の日米政府や県の対応,住民の動きの現在にいたる全過程を名護市の調査をふまえて,克明に分析した。 問題の核心は二つの意味世界が正当性を争う相克であった。一つは,新安保体制確立を目指す日米政府のシステム要請が形成する意味世界である。もう一つは,住民が生活の中から作り出す,平和,生活,環境を軸においた意味世界である。そのいずれが公共的な正当性をもつかが争われたのだった。住民投票は,その選択を行なう社会的行為であった。 問題を複雑にしたのは,地域振興問題が基地移設問題と絡んで論じられたことである。政府は基地受け入れを条件に,地域振興への支援を強化する姿勢を示した。本土と沖縄,県内諸地域の間には大きな社会経済的発展格差がある。住民にとっては地域振興は大きな願いであった。また,県内の諸地域ごとに自然的,歴史的差異をもつ社会・文化構造がある。「地域振興」,「地域の心」など,「地域」は第三の意味形成の基盤である。しかし,地域は多重的である。さまざまな地域の主張を生み出す社会経済的基盤を,社会経済変動と,名護市域のムラの社会・文化構造の特質と変化から究明した。 本研究の特質は,公共的意味世界の形成に地域がもつ重要性を指摘しつつ,多重構造をもつ地域を基盤にして形成される意味世界の究明を行ったことにある。
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