研究分担者 |
三中 信宏 農水省, 農業環境技術研究所, 主任研究官
嶋田 正和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40178950)
秋元 信一 北海道大学, 農学部, 助教授 (30175161)
酒井 聡樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90272004)
矢原 徹一 九州大学, 理学部, 教授 (90158048)
辻 瑞樹 富山大学, 理学部, 助手 (20222135)
立石 庸一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (80114544)
横山 潤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80272011)
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配分額 *注記 |
16,800千円 (直接経費: 16,800千円)
1998年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1997年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1996年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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研究概要 |
寄主植物と植食者の共進化,兵隊アブラムシを含む社会性昆虫における社会行動,性配分と性的二型について,系統樹を用いた種間比較による解析を進めた。寄主植物と植食者の共進化については,マメ科植物とマメゾウムシ類の関係を中心とし,両生物群の分子系統樹を作成した。次に寄主利用に関する野外調査により,植物種あたりの植食者側の種数では,分岐の古い2亜科の種子はマメ亜科より多い昆虫種を保有していたが,木本は草本より昆虫種数が多いという効果を除去すると分類群の効果はなくなった。植物の分布範囲等は中間スケールで昆虫種数が最大となったが,昆虫側の生理的適応や植物側の食害に対する防御の進化などに起因すると考えられる。また,アカシジミ属の分子系統解析に基づく単食性の進化と種分化過程の再検討やラン科植物と菌根菌の関係の種間比較による腐生性の進化の分析も行なった。性的二型の進化については,ミトコンドリアDNA上の遺伝子を用いたトンボ類の分子系統樹の作成がほぼ完了した。コドン座位によって塩基組成および置換率に偏りのある配列データであると考えられたため,各コドンポジションへの重み付けを伴う一般化最節約法を用いて系統推定を行なった。植物での性配分・性表現の進化に関しては,シンク-ソース関係を組み込んだ理論モデルの予測を独立対比法により検証し,予測と矛盾しない結果を得た。また,社会性昆虫の進化については、アリの女王数およびゴールを作るアブラムシに関しておもに研究を進めた。アリの女王数については、繁殖スキューの理論と生活史戦略によるモデルが異なった予測をもたらす。両者を識別するには,分岐関係がほぼ完全に明らかになる系統樹が必要であることがわかった。分析を支える方法の検討の結果,系統樹の枝の長さがわからず樹形のみがわかることがどの方法を採用するかを制約することが明らかになった。離散的データの取扱には十分な注意が必要であることもわかった。
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