研究課題/領域番号 |
08309002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
町並 陸生 (町並 陸夫) 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30010052)
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研究分担者 |
村松 康行 東京大学, 放射線医学総合研究所, 室長 (70166304)
森武 三郎 (森 武三郎) 東京大学, 放射線医学総合研究所, 特別研究員 (00166357)
志賀 淳治 (志賀 順治) 帝京大学, 医学部, 教授 (10110694)
石川 雄一 癌研究会, 癌研究所・病理学, 研究員 (80222975)
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1998年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1997年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1996年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | トロトラスト / α線 / 肝腫瘍 / 病理組織学 / 免疫組織化学 / 遺伝子変化 / 疫学 / 線量評価 / 肝悪性腫瘍 / 肝細胞癌 / 胆管細胞癌 / 血管肉腫 / 癌遺伝子 / トリウム沈着量 |
研究概要 |
町並はトロトラスト被注入者に発生した肝細胞癌21例、胆管細胞癌37例、血管肉腫30例を用いp53遺伝子のexon5,6,7,8における変異を検索したところ、点突然変異が肝細胞癌11例中7例(63.6%)、胆管細胞癌5例中1例(20.0%)、血管肉腫3例中0例(0%)にみられ、肝細胞癌にかなり高い頻度で点突然変異が認められた。一方、p53遺伝子のLOHは肝細胞癌9例中3例(33.3%)にみられ、p53の点突然変異の頻度よりもLOHの頻度が低く、LOHの認められない症例でも4例に点突然変異が認められた。 森はトロトラスト被注入剖検例383例の統計学的解析により、1998年7月15日現在で被注入者群の生存率が6.9%まで低下しており、対照者群の32.2%に比して、有意に低下していることを明らかにした。トロトラスト血管内注入者では、注入後20年を越すと、肝悪性腫瘍が有意に増加し、35年を越すと肝多重癌も有意に増加することは、これまでの剖検例の統計学的検索で明らかになっているが、今回の剖検例の検索では、それから注入後50年を越すと、より著明になることが明らかになった。 村松は高周波誘導結合プラズマー質量分析法(ICP-MS法)を用い、トロトラスト被注入者の種々の臓器中のトリウムの分析を行い、脾臓(平均値:21,400μg/g)、肝臓(平均値:2,100μg/g)、骨髄(平均値:600μg/g)の順に沈着量の多いことを明らかにした。 石川は2匹のサルにトロトラストを注入3〜4年後に肝臓、脾臓及び骨髄のトリウムの量を測定し、沈着量の比率が54:6:41及び75:4:21という結果を得た。即ち、肝、骨髄そして脾の順に沈着量の多いことが明らかとなった。トロトラスト被注入者の臓器中のTh量を測定し、肝、脾、骨髄におけるThの分布についてのKaul and Noffzのデータは脾臓で異常に高く、骨髄で異常に低いことを明らかにした。 福本はトロトラスト被注入者に発生した胆管細胞癌における癌遺伝子rasと癌抑制遺伝子p53の変異を検索し、14%の症例の癌部にコドン12G→A transitionを認めた。またp53のエクソン5-8の解析を行い、22例中4例(18%)で点突然変異(75%はA→G transition)を認めたが、2例では非癌部に変異が見られた。
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