研究分担者 |
金久 實 京都大学, 化学研究所, 教授 (70183275)
成澤 邦明 東北大学, 医学部, 教授 (90004647)
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
清水 信義 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
管野 剛史 浜松医科大学, 教授 (70051406)
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研究概要 |
I.研究班全体の成果: 1.遺伝子情報環境の調査-諸学会における遺伝子の取り扱い状況を調査し,特に関係の深い日本人類遺伝学会,日本先天異常学会,日本遺伝子治療学会などと提携関係を確立した。また,ひろく情報を集めて分析を加え,検査薬審査体制,データベース(特に人種間差),浸透率や非メンデル遺伝,診断精度など,遺伝子診断の実用にまだ多くの問題が残っていることを明らかにした。 2.遺伝子診断/情報公開講演会の開催-上記問題点の一つ「非メンデル遺伝」の分子機構について公開講演会を開き,注意を換基するとともに,その取り扱い方を討議した。 3.遺伝子診断学会の設立-本研究班員が中心となって3年前につくった遺伝子診療研究会を拡充,改組し,今年4月より正式に学会として発足させる準備を完了した。 4.遺伝子情報の取り扱いへの提言-ガイドラインを作成中または計画中と伝えられるUNESCO,HUGO,日本産婦人科学会などへ班員が分担して参加し,整合性ある提言への基礎固めをした。 II.班員個別の成果: 1.(上田)アルツハイマー病の研究から,遺伝子診断が基本的に確立に基づいて行われる際,日本人自身の多型・変異データベースが必須なことを指摘した。 2.(菅野)LDHやブチルCHEの遺伝子変異の研究を通して,遺伝子診断の精度管理の重要性を明らかにした。 3.(清水)遺伝子診断に即使用可能なデータベースとしてGene View^<PLUS>を開発した。 4.(笹月)糖尿病や花粉症,ワクチンとHLAタイプの相関を解析し,体質・素因の分子的基礎を確立した.なお,当班員は来年の第5回日本遺伝子診療学会学術集会長に予定されている。 5.(成沢)各種先天代謝異常症の原因遺伝子を明らかにするとともに,胎児診断の倫理性を提起した。なお,当班員は今年の第4回日本遺伝子診療学会学術集会長に予定されている。 6.(金久)WWW上でGDB,MIMなど多数の遺伝子データベースをリンクするシステムを構築し,また種々のシグナル分子を分析,予測するプログラムの開発を進めた。 以上の研究により,遺伝子診断推進への基礎的問題点が多数明らかとなった。今後1年をかけてこれらに検討を加え,討論を経て,明年(平成10年度)の重点領域研究の研究領域に応募する予定である。
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