配分額 *注記 |
40,200千円 (直接経費: 40,200千円)
1998年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1997年度: 14,900千円 (直接経費: 14,900千円)
1996年度: 20,500千円 (直接経費: 20,500千円)
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研究概要 |
1. COが吸着したNi(111)及びNiO(111)表面の和周波分光による観察 CO/Ni(111),CO/NiO(111)/Ni(111)系を可視及び紫外光パルスで照射したときの過渡的なSFGスペクトルを観察し、前者では波長266nmのパルス光の照射、後者では266,532nmのパルス光の照射で、過渡的な振動バンドが出現することを見出した。我々は最初、光照射によって振動励起状態が高い効率で生成した結果であると解釈したが、いくつかの難点が明らかになり、最終的な解釈に至っていない。 2. Ni(111)及びNiO(111)表面上に吸着したギ酸のSFG分光 フォルメートの吸着した表面(Ni(111)及びNiO(111)表面)に強力な近赤外パルスを照射することで生じる瞬間的な表面温度の上昇により進行する反応をSFG法によりモニターした。その結果,低温ではbidentate型で吸着していたフォルメートが温度ジャンプによりmonodentate型へと構造変化を起こし,その後分解へと至る過程を実時間で観測することに成功した。 3. ポンプ・プローブ法によるゼオライト水酸基に吸着した分子のダイナミクス ポンプ・プローブ法を用いて、原子や分子の吸着したゼオライト水酸基について振動励起状態(v=1)の緩和速度および振動励起後の過渡吸収スペクトルを測定した。水分子が吸着した場合は,励起エネルギーが水分子の他のモードにエネルギー再分配したのち、水素結合の切断することなく表面へ緩和することが明らかにした。 4. Ni(100)表面上に吸着したナフタレンの励起状態の観測 固体表面上に吸着した分子の電子励起状態の動的挙動を調べるために,ナフタレンをNi(111)表面上に吸着させ,その吸着量変化による蛍光、蛍光寿命の変化を調べた。その結果,多層吸着させたナフタレンは強いエキシマー蛍光を示し,その寿命はナフタレンの吸着量の増加に伴い長くなることを見出した。これは、金属内部に生じるイメージダイポールにより,表面近傍では緩和が促進されとことによると結論した。 5. Cu(111)表面上のベンゼン及びナフタレンによる2倍波発生 ベンゼン/Cu(111)表面のSHGスペクトルより、励起光の波長が250nm(光子エネルギー5.0eV)でピークを示すことを見出し,これは、ベンゼンの分子内電子遷移(S1-S0)との共鳴を反映するもので、気相からのシフト(0.2eV)は励起一重項状態の吸着による安定化の度合いを示すものである。同様に、ナフタレン/Cu(111)のSHGスペクトルからは、安定化エネルギーとして約0.4eVが見積もられた。 6. 酸化物半導体CdO薄膜における光ダイナミクス 金属的な不純物伝導性を示す半導体について,フェムト秒レーザー光を用いたボンプ-プローブ法により,光励起キャリアー(hot carrier)の緩和過程,並びにhot carrierの緩和によって引き起こされる格子の励起やバンド構造の変化の直接観測を行った。その結果,試料温度30Kにおいて電子-電子緩和(τ=1±0.3ps),電子-格子緩和による電子温度の低下(τ=22±2ps【triple bond】K),及び伝導帯(τ>100ps)からの脱励起がそれぞれ観測された。また,電子温度の低下する速さ(冷却速度:τ-1)が温度に強く依存し,約100K付近から冷却速度が急激に増加することを見出した。
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