研究概要 |
本研究は,加工中の状態を可視化することによってウォータジェット加工の機構解明や状態認識技術の確立を図ることを目的として研究を進めた.具体的な研究成果は以下のようにまとめられる. (1)透明材料を対象とした超高速ビデオカメラによる加工過程の可視化によって,加工機構の解明や加工状態認識技術の確立を遂行する上で重要な加工過程の観察と加工状態の抽出を行なった. (2)非透明材料に適用可能な可視化手法を確立するために,超音波パルス反射法を応用して切断前面の可視化の可能性について検討を行なった.これにより,切断前面の形状可視化が反射波が存在する範囲内で可能となるとともに,反射波形情報を解析することにより加工状態認識の可能性を示した. (3)ウォータジェットの加工作用を(i)切削作用,(ii)衝撃破壊作用,(iii)側方壊食作用の3つから校正される加工モデルを提案し,その妥当性を検討した.また,砥粒の作用が小作物によって異なることを明らかにした. (4)可視化情報で得られた加工状態を多軸力センサの出力と対応させ,さらに加工機構を考慮に入れて,加工状態の実時間状態認識手法を開発した.これによって(a)工作物の分離不良状態,(b)縞目模様の発生状態,(c)水噴流の湾曲状態,(d)水噴流の工作物貫通状態の認識が可能となった. (5)膨大なセンサ情報を効率よくデータベースとして蓄積し,このデータベースを利用して自律的に加工条件を決定する,「多次元加工状態空間」という新たな概念を提案した. (6)センサ機能,状態認識機能,データベース構築機能,並びに加工条件決定機能を統合してセンサベース適応制御システムを構成し,実験により開発した機能の有効性を確認した.
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