配分額 *注記 |
18,900千円 (直接経費: 18,900千円)
1999年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1998年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1997年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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研究概要 |
本研究では,カイコ脳から新しい神経情報伝達分子を単離し,構造決定してその機能を明らかにするものである.本年度の成果としては,以下の新しい発見が得られた. 1)カイコ蛹から食道下神経節を摘出し非休眠卵産生型とした蛹に,天蚕麻痺性ペプチド(Any-ParP)を注射することで,本来の休眠ホルモン誘導による休眠胚子と生理的にまったく同じものを誘導することに成功した.これは,カイコ中枢神経系による休眠制御の解明のために新しい提案を行っている. 2)カイコ脳の新しいペプチド・タンパク質となるボンビリンの発生成長過程を解析する目的で,ボンビリン抗体を作製し,免疫組織化学的に観察した.その結果,胚子の剛毛発生期から発現し,幼虫,蛹,そして成虫期に存在し,主に神経細胞の周核体外層からニューロパイルに分布していた.このことは,ボンビリンがカイコの中枢神経系の発生分化に不可欠であり,神経組織の機能維持に関与していると考えられる. 3)ATPレセプターの1種であるマウスP2X_1の抗体を利用し,カイコの中枢神経系を免疫組織化学的に観察した.その結果,P2X_1様タンパク質陽性ニューロンを5齢幼虫脳で4対,蛹脳で6対確認することができた.この発見は,昆虫学分野では最初であり,カイコの脳を含む中枢神経系からのP2X_1様タンパク質の同定が分子昆虫学の新たな重要課題として提案することができた.
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