研究分担者 |
舞田 正志 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (60238839)
佐藤 秀一 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (80154053)
竹内 俊郎 東京水産大学, 水産学部, 教授 (70092591)
岡田 茂 東京大学, 農学部・水産化学, 助手 (00224014)
山中 英明 東京水産大学, 水産学部・食品, 教授 (20092596)
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配分額 *注記 |
38,500千円 (直接経費: 38,500千円)
1998年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
1997年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1996年度: 18,700千円 (直接経費: 18,700千円)
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研究概要 |
本研究は,ブリ親魚に適した飼料の栄養組成を明らかにし,良質卵の獲得を可能にするドライペレット(EP)の開発を目的とした。その結果,親魚用EPの基本設計としてブリ育成用の配合組成が有効であることがわかった。次に,卵質改善に関して,マダイで有効であることを明らかにしたアスタキサンチン(Astx)の添加効果を調べた結果,飼料中のAstxの増加に伴い卵質が改善され,30ppm前後で最高に達することがわかった。また,飼料中のAstxは卵にゼアキサンチン(Zeax)およびルテインとして蓄積され,ふ化後速やかにツナキサンチンに転換されることがわかった。これらの結果から,ブリの卵質改善にはAstxよりZeaxの方がより効果的であることが示唆された。 そこで,両色素をそれぞれ30ppm添加したEPを作製し,卵質改善に対する効果を比較した。その結果,両色素添加区とも無添加区よりも産卵量が多く,卵質は30ppm Zeax区で優れていたが,産卵成績にバラツキがみられ全体に従来の成績より劣る結果となった。その原因として飼料中のZeaxが予定値よりかなり低かったことが考えられる。Zeaxの合成品がないためZeaxを比較的多量に含有するスピルリナを色素源として用いたが,EP製造中に破壊されたためと推察された。飼料製造中のZeaxの損耗を考慮してスピルリナを6.6%添加したEPで親魚を産卵前約4ケ月間飼育し再度試験を行った。その結果,対照区およびAstx添加飼料区では自然産卵および人工採卵が可能であったが,スピルリナ添加区の親魚からは採卵ができなかった。対照区とAstx区の親魚では卵巣重量が500g前後とよく成熟していたのに対して,スピルリナ飼料区では30g前後と未成熟の状態であったためと推察された。一方,精巣の発達状態や精子の活力には試験区間で差がなかった。また,スピルリナ飼料ではZeaxが38.4ppmと多少高かったが,β-カロチンやキサントフィルの含量が著しく高く,総力口テノイド含量が200ppmに達していた。これらの結果から,ブリの卵巣成熟がスピルリナ(色素の過剰添加)によって阻害されたと考えられる。卵質改善に有効なAstxの添加量は20-30ppmで,40ppmでは低下することをみた先の実験結果からもカロテノイドの過剰による影響と判断された。以上,ブリの親魚飼料としては育成用EPが適しており,卵質の向上にはAstxが有効であることが明らかになった。
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