配分額 *注記 |
32,600千円 (直接経費: 32,600千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1997年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1996年度: 20,100千円 (直接経費: 20,100千円)
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研究概要 |
膵癌に関する研究で重要なことは,ヒト膵癌のうちでも最も頻度が高く,且つ予後不良の膵管腺癌を標的とすることである.ヒトの膵管腺癌と組織学的,生物学的更に,遺伝子学的に類似する癌は,実験的にニトロソ化合物を用いてハムスター叉は雑種成犬にのみ発生せしめ得るのみで,他の動物種では発生せしめることは出来ない.本研究は,代表研究者らが開発したハムスターにおける短期膵管腺癌発生系(Mizumoto K. 他,J.Natl. Cancer Inst. 1988 ; 80 : 1564-1567)とこの系により発生した膵管腺癌の培養系(Moti,T. 他,Int. J. Pancreato. 1994 ; 16 : 171-177)を用いて行った. 膵管腺癌の発生と進展に関する遺伝子変化 1.ハムスター膵管腺癌におけるテロメア長の短縮とテロメラーゼ活性増強が検出され,このことはヒト38症例の膵管腺癌組織のうち32例(84%)に活性増強がみられ,このうち20例(53%)はKi-ras突然変異を合併していた. 2.膵管腺癌において増殖因子であるmidkineのnRNAの過剰発現と蛋白レベルでの発現がみられた. 3.膵管腺癌の発生と進展にMMP familiesのうちでMMP-2の発現亢進が重要な因子であることを見出した. 4.膵管腺癌でアポトーシスに関与するbax遺伝子の過剰発現がみられた. 5.膵管腺癌発生に対するb-カテニンの関与は否定された. 制御に関する研究成果 1.8種のヘテロサイクリックアミンのうち,Trp-P-1とDiMeIQXの膵管腺癌発生への関与が示唆された. 2.MMPの阻害剤であるOPB-3206は,膵管発癌を抑制した. 3.0.0025%b-カロチン,0.004%パームカロチンと0.05及び0.5%緑茶ポリフェノール,0.0015%4-hydroxyphenyl retinamide(4-HPR)と0.1%トラネキサムサンは膵管発癌を抑制した. 4.4-HPRとaurapteneは,それぞれ10μMと50μMの濃度で膵管腺癌培養細胞にアポトーシスを誘導した.
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