研究課題/領域番号 |
08407055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
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研究分担者 |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70191963)
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 講師 (50194717)
岡本 直之 京都大学, 医学研究科, 助手 (70263069)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
30,800千円 (直接経費: 30,800千円)
1997年度: 12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
1996年度: 18,700千円 (直接経費: 18,700千円)
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キーワード | 虚血網膜 / グルタミン酸 / 遅発性神経細胞死 / 一酸化窒素 / アポトーシス / DNAの断片化 / N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA) / 遅発性細胞死 / NMDA受容体 / カルシウム / フリーラジカル / ビタミン |
研究概要 |
虚血網膜において血管構造とは無関係に網膜内層に選択的に生じる遅発性細胞死は神経細胞固有の虚血に対する脆弱性に基づき、それが神経細胞特有のイオン機構に起因していることがわかった。光刺激に対して網膜の外層にある視細胞から双極細胞および一部のアマクリン細胞(on型)まではアナログ型応答を示し、網膜内層に位置するon off型アマクリン細胞から網膜神経節細胞より活動電位を生じるデジタル型応答を呈する。興奮性伝達物質のグルタミン酸受容体の分布は、網膜外層はAMPA/カイニン酸受容体、内層からNMDA受容体が発現しだす。培養細胞系の実験からNMDA受容体を有するアマクリン細胞がグルタミン酸の興奮性毒に脆弱で一酸化窒素がそれを介在することを突き止めていたので、虚血時の網膜障害性の発現機構の研究をさらにin vivoにおいて展開した。その結果、一酸化窒素合成酵素(NOS)をアイソフォーム非特異的に抑制するL-NAMEの前処置によって虚血による網膜の組織障害を防ぐことがわかった。一方、我々の虚血再灌流時のサイトカインや誘導型NOSの経時的および網膜内での分布に関する研究から、網膜血管閉塞後に生じる血管性病変は非特異的炎症反応の結果であることを突き止めている。従って、このin vivo虚血実験の結果は、例え、血管拡張作用をもつ内皮型NOS-IIIを抑制して局所の血流を犠牲にしても、神経型 NOS-Iの抑制による神経細胞の保護効果の方が大きく、虚血による細胞死を抑止するには、この神経細胞の持つ固有の分子内機構を制御する必要があることがわかった。これと平行して進めている分子遺伝学的研究から、再灌流6〜168時間後においてDNAの断片化を意味するTUNEL陽性細胞が観察され、その数は24時間で最大であった。さらに再灌流24時間後においてアポトーシスに特徴的なDNAラダーを証明するとともに、半定量的PCR法により、アポトーシス関連遺伝子であるbaxのmRNAは再灌流24時間後を最大とする一過性の上昇を示すことを見いだした。これは虚血網膜においてアポトーシスが関与していることを意味し、この分子機構の制御が虚血性網膜障害の抑止につながることが示唆される。
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