研究課題/領域番号 |
08408018
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
核融合学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
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研究分担者 |
小野 双葉 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00011198)
米岡 俊明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40013221)
大津 繁樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30272397)
寺井 隆幸 東京大学, 工学部, 助教授 (90175472)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
23,800千円 (直接経費: 23,800千円)
1998年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
1996年度: 15,900千円 (直接経費: 15,900千円)
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キーワード | 赤外吸収法 / 原子間力顕微鏡 / 光電子分光法 / 量子化学計算 / 水素同位体の吸着・脱離 / 水滴の吸脱着機構 / CRYSTAL95 / FT-IR / 脱着機構 / 光励起脱離 |
研究概要 |
1.拡散反射法を用いた赤外吸収法により、雰囲気制御下でss316,Cr_2O_3,NiOの表面水酸基のO-D伸縮振動を観察したところ、吸着状態は一様でないことがわかった。特に高波数に吸収が現れる吸着状態は、吸着力が強く脱離が遅かった。紫外線照射除染法を行うと、この高波数側の脱離促進が起きていることを示唆する結果が得られた。この促進効果は放射強度よりも、光子のもつエネルギーに依存性があることがわかった。 2.透過法を用いた赤外吸収法により欠陥が存在するLi_2O内のO-D伸縮振動を観察した。O-Dによる赤外吸収ピークは、試料中の酸素空孔の影響により低波数側にシフトすることがわかった。またアニールにより消滅するピークと強度の増すピークが観察された。これは加熱により不安定な位置にあるO-Hがより安定な位置へと移行したためと考えられる。 3.原子間力顕微鏡を用いて、大気圧下における水滴吸脱着のその場観察に成功した。グラファイト劈開面において、ステップサイトとテラスサイトで水の付着挙動に違いがあることがわかった。金属酸化物においては表面酸化物に欠陥が多いほど、水滴の吸着が起こりやすくなることがわかった。また酸化物の安定性が低いと、表面に付着した水と酸化物の電気化学的作用が原因と考えられる形状変化が起きうることが観察できた。 4.光電子分光法により、純水を吸脱着させた時の酸化鉄の電子状態を測定した。XPSの結果からは、酸素IS領域に複数のピークが親察され、その帰属を行った。また鉄2pのスペクトルの観測より、スパッタリングすると酸素欠陥が多くできて鉄の還元が進むことがわかった。また欠陥が多い酸化物表面には水が吸着しやすかった。さらにUPSを用いると、XPSでは観察できなかった電子状態の変化を観察することができた。 5.量子化学計算により金属酸化物としては最も単純な系である酸化リチウム表面での水や水素分子の吸着挙動の解析を試みた。その結果、吸着分子と表面との間の電子の授受が、解離反応中の表面イオンの緩和や、表面欠陥の存在によって促進されることが明らかとなった。また、酸素空孔の影響を受けた水酸基の伸縮振動が、欠陥等の影響のない場合よりも低波数側に現れることが説明できた。 実条件下での水同位体の付着挙動を解明するためには、FT-IR、原子間力顕微鏡、光電子分光法、量子化学計算といった分析・解析手法の組合わせにより、より詳しい知見が得られるという道筋を示すことができた。
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