研究課題/領域番号 |
08408035
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三品 昌美 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80144351)
|
研究分担者 |
森 寿 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00239617)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
33,700千円 (直接経費: 33,700千円)
1998年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1997年度: 9,800千円 (直接経費: 9,800千円)
1996年度: 17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
|
キーワード | グルタミン酸受容体チャネル / NMDA受容体チャネル / サブユニット欠損マウス / シナプス可塑性 / 文脈依存学習 / シナプス形成 / 小脳 / 海馬 / シナプス長期増強 / リン酸化 / 82サブユニット / プルキンエ細胞 / δ2サブユニット / グルタミン酸受容体 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
NMDA受容体チャネルのGluRε1サブユニット欠損マウスの海馬CA1領域のシナプス長期増強(LTP)発現機構は正常であるが、NMDA受容体チャネル活性の低下によりLTP誘導の閾値が上昇していることを見出した。さらに、遺伝的背景をC57BL/6系統に均一化した純系マウスを用い、GluRε1サブユニット欠損マウスでは文脈依存学習の閾値が上昇していることを明らかにした。これらの結果は、NMDA受容体チャネル依存性シナプス可塑性がある種の記憶・学習の基盤となっているとの考えを強く支持するものである。GluRε2サブユニット欠損マウスは、哺乳に必要な吸引反射が消失しており生後1日で死亡した。欠損マウスは、三叉神経核においてヒゲ知覚神経に対応する樽状構造(バレレット構造)の形成が認められなかった。ヒゲ知覚神経を標識し解析した結果、知覚神経は三叉神経核に到達しているが、その神経終末は散漫に分布していること、すなわち神経回路の形成は起こるが機能的な回路に整備される過程に障害が起きていることが示唆された。さらに、海馬シナブスではNMDA受容体チャネル電流ならびにシナプス伝達の長期抑圧が検出されなかった。すなわち、GluRε2サブユニットはシナプス可塑性とシナプス形成整備の両者に関与し、マウスの発達に必須の分子であることが明らかとなった。 グルタミン酸受容体チャネルGluRδ2サブユニットは小脳プルキンエ細胞に特異的に発現し、プルキンエ細胞の平行線維シナプスに局在する。連続電子顕微鏡写真により、GluRδ2サブユニット欠損マウスでは平行線維終末と結合しないプルキンエ細胞棘突起が出現していることが判明した。すなわち、GluRδ2サブユニット欠損は棘突起と平行線維終末との間の結合率を選択的に低下させることを見い出した。GluRδ2サブユニットは小脳シナプス可塑性と運動学習に重要な役割を果たしているとともに、発達段階における平行線維シナプスの結合強化・安定化に関与することが明らかとなった。
|