研究課題/領域番号 |
08451001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 亨英 北海道大学, 文学部, 教授 (30008958)
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研究分担者 |
中澤 務 (中澤 努) 北海道大学, 文学部, 助手 (10241283)
中川 大 北海道大学, 文学部, 助手 (40237227)
花井 一典 北海道大学, 文学部, 助教授 (80228501)
坂井 昭宏 北海道大学, 文学部, 教授 (20092059)
山田 友幸 北海道大学, 文学部, 教授 (40166723)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1997年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1996年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 心 / 言語 / 行為 / 身体 / 心身問題 / 行為の因果説 / 霊魂論 / 雲魂論 |
研究概要 |
本研究は、「心」の概念を、思想史的な背景を考慮に入れつつ、哲学上の重要な諸概念との関連の中で総合的に把握することを目的として開始された。平成8年度には、主として、心の概念を巡る個々の具体的な問題を巡る個別的研究を、そして、平成9年度には、そうした基礎研究の成果をもとにした総合的研究を行なった。 研究成果報告書に掲載されている三編の論文は、こうした研究の成果の一端であり、いずれも心の概念の総合的な把握のための新たな知見を提示している。中川の論文は現代の言語哲学の視点から、この問題にアプローチしている。この論文は、ストローソンの前提理論を再検討し、その限界を指摘することにより、言語的コミュニケーションの成立のためには単称名辞に対する知識が必要とされるというフレーゲ的発想を批判しているが、そこで提示されているコミュニケーションと知識との関連を巡る洞察は、心の概念に関して斬新な光を投げかけるものである。中澤の論文は古代ギリシア哲学研究という視点からこの問題へのアプローチを試みている。ソクラテスの幸福主義を巡る論文は、ソクラテスにおける幸福とは一般に考えられているような主知主義的なものではなく、むしろ行為に対する倫理的評価を中心とした人格全体の統合に関わるものであることを論じたものであるが、そこで提示されている徳と幸福との関係を巡る知見は、心の概念の把握の問題と、倫理的な自己の成立という問題との密接な連関を明らかにしている。また、『ゴルギアス』についての論文はプラトンにおける欲求の概念を巡る研究であるが、行為の成立を説明するための欲求概念の複雑さと多様性を指摘している点で、心と行為の関係を巡る一般的な視点を提示しているといえる。
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