研究課題/領域番号 |
08451058
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
教育学
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中村 満紀男 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (80000280)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 断種 / 精神薄弱者 / コミュニティ / 優生学 / アメリカ合衆国 / 施設 / 結婚 / 育児 / 養育 / 地域内処遇 / 20世紀前半 |
研究概要 |
「精神薄弱」者のコミュニティ・ケアは、歴史的にはむしろ常態であったが、アメリカ合衆国では、19世紀末から20世紀前半まで、施設内での保護が一般的形態となる。20世紀初頭、施設内での隔離が最盛期であった時期に、「精神薄弱」者のコミュニティ生活が対象を限定して実現するようになる。ニューヨーク州ではコミュニティ内のコロニーが仮退所制度と結合して、カリフォルニア州では施設退所者に断種をして、コミュニティ生活が試行される。 この2つの施設の描く「精神薄弱」者のコミュニティ生活像は、前者では通常の市民と同等であるが、後者では出産と育児は「精神薄弱」者の夫婦には拒絶された。しかし、これらの施設が「精神薄弱」者のコミュニティ生活を認めた背景は、収容力不足と過密、大きな入所需要、長期の入所待機、総収容の実現に対する州資金の不足があり、他方で、入所者の相対的な軽度化と低年齢化、教育・訓練による労働力育成、親の心情的・実利的な退所要望、未熟練労働力の市場、そして指導監督制度は共通であった。 こうして、コミュニティ生活は、特定の理念よりは現実的背景のなかで運用された。しかし、カリフォルニア州では、「精神薄弱」問題は社会全体の公共的問題に擬せられ、とりわけ優生学が問題解決に貢献する。「精神薄弱」の遺伝・脅威が強調され、退所者の結婚は認めるものの、子孫における「精神薄弱」の発生予防のために、断種が法律により退所者に実施された。 1920年代以降、この2つの流れが他の施設にも大きな影響を与えることになり、退所者に断種して出産と育児以外は通常のコミュニティ生活を認める計画も、州が入れ替わりながら拡大するようになる。バージニア州のように、就労の場が限定されている施設では、断種が施設内での通常の生活享受のため実施される例も生じた。
|