研究概要 |
本研究においては,重度運動障害児を対象とし,彼らのコミュニケーション能力を高めるために,代替コミュニケーション手段の獲得を中心とした3領域から構成される指導プログラムを作成した.その指導プログラムを3名のWerdnig-Hoffmann病児に適用し,有効性の検討を行った. 平成8年度は最重度の運動障害を有し,表出手段に著しい制限のあるWerdnig-Hoffmann病児の代替コミュニケーションという視点から指導プログラムの作成を行った.〈デバイス操作領域〉,〈文字学習領域〉,〈日常コミュニケーション領域〉という3領域と各領域のステップを設定し,最終的にコンピュータを用いた文字表出による日常生活でのコミュニケーションが可能となることを,指導プログラムの目的とした. 平成9年度は,3名のWerdnig-Hoffmann病児に対し,平成8年度に作成した指導プログラムを実施し,指導プログラムの有効性を検討した.その結果,3例とも新しい操作スキルを身につけることができ,さらに2例では平仮名50音の習得及び表出に進歩が見られた.以上のことから,本指導プログラムの有効性が認められ,適用のための事前の評価について考察がなされた.本指導プログラムの実施結果から明らかにされた点をふまえ,指導プログラムが改善された. 学習内容の日常生活場面への般化の困難さと,本指導プログラムの適用範囲の拡大についての問題は,今後の課題とされた.
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