研究課題/領域番号 |
08451071
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 東京家政学院大学 (1998) 国立歴史民俗博物館 (1996-1997) |
研究代表者 |
小林 忠雄 東京家政学院大学, 人文学部, 教授 (00215336)
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研究分担者 |
岩城 卓二 大阪教育大学, 文学部, 助教授 (20232639)
高桑 守 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (60127769)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | 都鄙連続体論 / 小都市 / 風俗現象 / 商業活動 / 在郷町 / 感覚表現 / 伝承母体 / 変容原理 / 都市連続論 / 行動のテリトリー / 社会構造 / 情報化社会 / マチ場民俗 / おわら風の宿 / 風俗感覚 / オクンチ祭り / マチ場 / 五感 / 民俗文化 / 年中行事 / おわら / 甘党辛党 / 伝統産業 / 民俗と風俗 / 高度経済成長 / 地方都市 / 小城下町 / 周辺農村 / 都市の景観 / 空間構造 |
研究概要 |
地方の小都市をフィールドとし、都市的感性の受容、風俗現象の変遷、社会構造の変容について、都鄙連続体論の立場から調査研究することが本研究課題の目的である。 調査は石川県松任市の市街地と富山県八尾町の市街地を主な研究対象とし、その他に岩手県遠野市、秋田県角館町、群馬県桐生市、熊本県人吉市との比較研究も試みた。 松任市は中世以来、農村地帯の政治経済の中心であるマチ場を形成したもので、その歴史は古い。マチの産業は江戸期に始まる市場の商業と、灯油、染色業が中心で、その後は次第に様々な日用品を売る商売が定着し、近代以降になると世相や商品の変化に呼応した商業活動が展開され、いわゆる典型的な在郷町である。 特に昭和期以降の商業活動には、マチ場特有のアイデアを駆使したイベントが展開され、そこには先端的な風俗の感覚表現があり、人々を刺激した。1955年頃から伝統的な生活様式と文化の変化が顕著となり、商家も変化して建物の改築が相次いだ。 祭礼は神輿の巡行と曳山、獅子舞があるが、サラリーマン化したマチ場の構成員の変化により、伝承母体自体が変化せざるを得なくなった。その変化とは伝承内容がマニュアル化し、そのことにより風流(ふりゅう)の魅力が失われることとなった。 同じく八尾町でも松任市と同じ傾向が見られたが、ここではかつてマチ場の富裕な経済を背景に、感覚表現に鋭敏で洗練されたマチ場性が培われ、それは常に時代の風俗感覚に呼応した変化を追い求めるだけに、今日でも刺激に満ちた祭性を常に表出している。 すなわち、それはトカイ的な感覚表現の技術と情報の入手方法を早くから身に付けた結果によるもので、換言すれば八尾には近代以降の都市化の構造とその変容原理、変容価値の認識を早くに得たからに他ならない。
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