研究概要 |
本研究は,アメリカにおけるマクロマーケティング研究の動向について包括的なサーベイを行なうことを課題としていた.本研究では,マクロマーケティング学派の機関誌の編集責任者を務めたロバート・ネーソン,ミシガン州立大学教授に依頼し,1976年以来毎年行なわれているマクロマーケティング・セミナーの報告書(総計25,000ページ以上,冊子体として公表されなかった年次も少なからずある)の全文コピーを入手し,そのデータベース化をはかると同時に,主要なトピックについて検討を加えた.これにより,初期のセミナーにおいて,マクロマーケティングの概念,研究対象について活溌な議論が行なわれ,マクロマーケティングの多元的定義が定着していった事情が解明され,また,マーケティング史,生活の質とマーケティング,マーケティングと開発など,今日の主要なマクロマーケティングの研究領域が初発から活溌に議論されいたこと,マクロ的消費論,マクロマーケティング管理論といったマクロマーケティング研究のなかで独自の概念形成がなされていったことが明らかとなった. 本研究は,さらに,アメリカにおけるマーケティング史研究の特徴について詳細な検討を加えた.マーケティング=交換論に依拠しつつ,アメリカにおけるマーケティング研究が没歴史的で自民族中心主義的であったという反省を基礎に行なわれているマーケティング史研究は,マクロマーケティング研究のなかで重要な地歩を築き,他国のマーケティング史に強い関心を示していることから,わが国研究者も積極的に関与する必要があるとの結論を得た.なお,アメリカ・マーケティング史研究については,研究成果公開促進費を得て著作として出版された.同書は長文の英文サマリーをもち,マクロマーケティング・セミナー,マーケティング史学会の海外研究者に寄贈された.
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