研究分担者 |
山田 光太郎 熊本大学, 理学部, 助教授 (10221657)
池田 薫 熊本大学, 理学部, 助教授 (40232178)
岡 幸正 熊本大学, 理学部, 助教授 (50089140)
河野 實彦 熊本大学, 理学部, 教授 (30027370)
八牧 宏美 熊本大学, 理学部, 教授 (60028199)
櫃田 倍之 熊本大学, 理学部, 教授 (50024237)
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研究概要 |
本研究の目的は,Kummerの合流超幾何関数,ベッセル関数,エルミート関数,エアリ関数などのさまざまな古典特殊関数を統一的に理解するために我々が導入した,一般超幾何関数(GHF)の性質を調べることであった. 1:GHFはGrassmann多様体Gr_<r,n>上のholonomic系の解として定義され,形式的な積分表示をもつ.この積分表示をde Rham理論の枠組みでとらえると,すなわち,ある種のcohomologyとhomologyの間のdual pairingとして理解することを試みた.ここでは,GHFの特別な場合であるGelfand,Serganova,Retahkによって導入されたgeneralized Airy function及び,GHFが一重積分で与えられる場合にcohomology及びhomologyを調べた.具体的には (1)r-重積分で定義されるgeneralized Airy functionを特徴づけるholonomic系をsingular locusの外でholomorphic integrable connectionとして実現することと関連して,[3]で,被積分関数から定義されるrational twisted de Rham complexのcohomology groupの計算を行い,r次以外のcohomology groupがtrivialになること(消滅定理)を証明し,さらに,r-次cohomology groupの次元が_<n-2>C_<r-1>であることを示した.また,r-次cohomologyの基底がSchur関数を用いて与えられるという予想を提出した. (2)一方,generalized Airy functionの積分領域をP^r上のある種のfamily of supportsを持つhomologyのcycleとしてとらえ,homology groupがr-次以外ではtrivialになること,さらにr-次のhomology groupはde Rham cohomology groupの次元とおなじ階数を持つ独立変数の空間上の局所定数層を与えることを,古典的な鞍部点法をr次元に拡張した理論を用いて示した[4]. (3)積分表示が一重積分で与えられる場合(言い換えれば,Lauricellaの超幾何関数F_Dから"合流"で得られるGHFの場合)に,H^1以外のcohomology groupがtrivialになること(消滅定理),一次元cohomologyの基底を具体的に与えた[2]. 2:古典的な超幾何関数については,合流という極限操作が知られていて,Gauss超幾何関数から他の特殊関数が得られる.論文[5]において,この現象をLie環gl_nの正則元全体に自然に入るstratificationによって説明することができることを示し,さらに,一般のGHFに対して合流操作を具体的に与えた.
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