研究分担者 |
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40240303)
野村 隆昭 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30135511)
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
岩崎 敷久 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70027374)
渡辺 信三 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90025297)
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研究概要 |
ループ群上の確率解析の話題を中心に確率解析全般に渡る諸問題について研究を進めてきた。ループ群は無限次元多様体の構造を持ち,無限次元解析を行なう上での典型的な例を提供している.とくにDirichlet形式などの解析的な手法は一般性を持ち,空間が有限次元であることを必要としない場合が多く,無限次元の空間を扱う場合に有効である. ループ群上には各種の作用素が定義され,そのスペクトル構造などの解明が大きな課題となっている.この問題に関して無限次元空間において最も基本的な不等式である対数Sobolev不等式の成立が予想されているが,条件付測度の場合は未だ証明されていない.ここではこれらの解明を目指し,Hodge-Kodaira型Laplacianから生成される半群を研究対象として,半群に対する比較定理の一般論を展開した.微分形式等のベクトル値関数に作用する半群は一般に取扱が難しいが,スカラー関数に作用する半群との比較定理を用いることによりいろいろな評価をスカラーの場合に帰着できる.そこで半群に対する比較定理をsquare field operatorを用いて十分条件を与えた.この判定法はHodge-Kodaira型の作用素の場合は,共変微分の性質やRicci曲率によって与えられる. 比較定理の応用として,本質的自己共役性の問題も取扱うことが出来る.実際スカラーの場合の方法を比較定理と組合せることにより,ベクトル値の場合にも拡張することが出来る. 確率解析に関連した問題は,渡辺信三,吉田伸生によっても研究されている.渡辺はWiener空間上の分数巾Sobolev空間の枠組みで分布の正則性について精密化を行ない,吉田は格子スカラー場に対し対数Sobolev不等式が成立する条件を与えた.さらに関連する諸分野の成果もまとめた。 また,この科学研究費による研究集会を持ち,異なった問題意識を持つ研究者と研究交流を持ち,情報交換ならびに研究の深化を図ることが出来た.これらの研究集会における講演の概要を各講演者にまとめた。
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