研究概要 |
最近,Hipparcos衛星による観測から,大小マゼラン雲の固有運動が発表された.それは,これまでの我々のモデル計算による軌道と矛盾しないが,観測にはまだ大きな誤差が含まれており,固有運動の観測から大小マゼラン雲の軌道が決まるまでには至っていない.そこで本研究では,銀河系-大マゼラン雲-小マゼラン雲の3体の重力相互作用を考慮しながら,マゼラン雲流の形状と運動を手がかりに,大小マゼラン雲の軌道を決定することから始めた.軌道がわかれば,大小マゼラン雲の相互作用の歴史が明らかになるからである.そのため,大小マゼラン雲が形成された時期から現在まで力学的に束縛された連銀河であるという条件を満たす軌道をすべて取り出すという作業を行い,これまでに連銀河となる軌道約450組を見つけた. 過去の研究では,小マゼラン雲の銀河回転軸は大マゼラン雲のそれに平行であるとの仮定をしていたが,ここでは小マゼラン雲の銀河回転軸の向きも様々に変え,マゼラン雲流の形状と運動を再現する軌道を徹底的に探した.その結果,マゼラン雲流の運動と形状を比較的よく再現できる軌道が,現時点で15組み以上見つかっている.このようにして得られた軌道に対して,最小マゼラン雲の過去の相互作用の歴史がどのようなものであったかを調べ,大マゼラン雲における星形成の歴史や30Dor領域の巨大ガス雲の運動をよく再現するものを選び出すことになる.この作用のための基礎的データがそろった段階である. また,原始球状星団の発見は天文学・宇宙論の中で最も重要な発見の一つであり,重要な研究成果の一つとなる.現在,世界でこのような原子球状星団のサーベイはまだなされていない.このサーベイを行うために,南半球にある光学・赤外望遠鏡に搭載する2次元赤外線検出器の開発および周辺電子回路を製作を引き続き行っている.
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