研究概要 |
本研究の目的は,中間エネルギー(150-300MeV)の偏極陽子ビームによる^<12>C(p,^<12>N)n反応で作られた高スピン偏極^<12>N核を,長時間(数10ミリ秒程度)にわたって保持できるような標的物質やホスト物質を探すことである。今年度は最終年度にあたりその研究目標は,昨年度製作した、散乱槽, C型電磁石,検出器等の設置調整ならびに高スピン保持標的の探索実験である。その実績は以下の通りである。 1.大阪大学核物理研究センター(RCNP)の共同利用実験へ課題申請を行い、テスト実験が認められた。 2.散乱槽,C型電磁石,検出器をRCNPの実験室に設置した。 300MeVの偏極陽子ビームがC型電磁石で曲げられても、正常に輸送され放射線のバックグランドを発生しないことを実験的に確かめた。 4.300MeVでの^<12>C(p,^<12>N)n反応を使い、β崩壊から残留核^<12>Nの偏極度を予備的に測定した。標的は、グラフォイル、OHGP、CH_2、ダイヤモンド、多重C+Alフォイル、である。解析が途中であるが、OHGPを除きほとんど偏極が残らないことが発見された。OHGPについては、0.011±0.003程度の偏極が観測された。 5.偏極度の外部磁場依存性を測定した。 テスト実験から本格的な測定に必要な基礎的なデータは得られたが、目的とした大きな残留偏極を示す標的は見つけられなかった。これは、加速器の故障などにより、当初の実験計画に沿って進められなかったことによる。今後も測定を続ける予定である。その結果を待って、最終報告書を作成する。
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