研究課題/領域番号 |
08454127
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
庄子 仁 (庄司 仁) 北見工業大学, 工学部, 教授 (50201562)
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研究分担者 |
成田 英器 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (20001662)
亀田 貴雄 北見工業大学, 工学部, 助手 (00233974)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1997年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1996年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 氷床コア / 氷床流動 / クラウディー・バンド / 地球環境 / サミットコア |
研究概要 |
1992年にグリーンランド内陸中央部のサミットにおいて、厚さ3029mの氷床を完全に貫いて、深層ボーリングコアが採取された。このコアの酸素安定同位体比の測定・解析から、現在の気候に近い状態にあったと考えられているイ-ミアン間氷期において、急激な短期的気候変動が存在したことが示された。また、物理的光学層位解析の結果からは、イ-ミアン間氷期の氷が位置するような氷床部付近の深さ領域では、基盤に影響されて氷の流動が極めて複雑な状態にあると推定された。従って、酸素安定同位体比が示す気候の振動データは、局所的な氷床流動のために氷の層が乱された結果生まれた2次的なものであり、地球上の実際の環境・気候を反映するものではないとの指摘がなされた。本研究において氷床底部付近の流動特性を調べた結果、以下のことが明らかにされた。 1)コアの力学試験からは、次のような結果が得られた。 ・氷床流動を規制する流動則は、主として氷結晶のすべり変形における異方性に支配されている。 ・氷に含まれる不純物は、応力状態が変化したときの結晶方位分布の変化の仕方に影響を与える。 ・クラウディー・バンド近傍では、微視的スケールの卓越すべりが存在する。 2)コアの力学試験の結果を用いて、異方性を考慮した氷の流動則が新しく導出された。これを現場に適用した結果、サミット直下の複雑な基盤形状の影響で、氷の流動は底部に近づくにつれて急速に不安定になり、まさにイ-ミアン氷の深さ以深の領域では基盤形状に極めて敏感であることが示された。 3)酸素安定同位体比の測定結果を上記の流動研究および他のコア解析データと詳細に比較した結果、イ-ミアン間氷期の氷のうち特に後半部分(浅部)については、流動による層位の乱れがほとんど無く、地球環境・古気候情報が抽出可能であることが示された。従って、イ-ミアン間氷期において少なくとも1度は、急激な短期的気候変動が存在したことが明らかになった。
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