研究分担者 |
石川 尚人 京都大学, 総合人間学部, 助手 (30202964)
ウオリス サイモン R (ウオリス サイモン・R / サイモン R.ウォリス) 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (30263065)
古川 善紹 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80222272)
山路 敦 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (40212287)
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研究概要 |
断層ガウジ試料の磁気的な性質から,断層についての新しい情報を得ることを目的として研究を行った.その主な結果は以下である. 1)帯磁率異方性を測定するための最も優れた装置であるGISCO社製のKappbridge KLY-3Sをセットアップし,その信頼度を確かめ,帯磁率異方性を表現するパラメータとして何がもっとも有効かを検討した.その結果,Pj(異方性度)とT(楕円体形状)の2つのパラメータを用いることで,異方性を合理的にパラメタライズできることを確認した. 2)愛知県瀬戸市の猿投山北断層(活断層)を横切る東白坂トレンチで試料を採取し,自然残留磁化と帯磁率異方性を測定した.自然残留磁化からは断層の活動時期を示す有効な情報は得られなかった.帯磁率異方性については,断層面に接して採取された試料と,離れた試料では明らかな差があることが示された.前者では,帯磁率異方性楕円体は鉛筆状であり,最大軸が断層の走向方向に平行,最小軸がそれに直交したガードル分布をしている.一方,後者では堆積構造と思われるピザ状の帯磁率異方性を示した.帯磁率異方性楕円体の最大軸が断層の走向方向に平行になるのは,断層の横ずれ成分が卓越するためなのか,あるいは垂直成分によって磁性粒子がロール状に配列したためなのか,今後より詳しい検討を必要とするが,断層運動の方向に制約を与える情報として使うことが可能と考えられる. 3)三重県鈴鹿郡加太で比較的大規模な断層ガウジの試料を採取した.加太川断層(仮称)の詳細は不明だが,約1mの厚さの細粒物質からなるガウジから試料を採取した.帯磁率異方性楕円体の形状はピザ状であり,その面は断層面にも地層面にも近いが,完全に平行ではない.そのため,帯磁率異方性が断層運動に起因しているのかどうか確実には判断できなかった.
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