配分額 *注記 |
8,900千円 (直接経費: 8,900千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1997年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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研究概要 |
地球表層を取り巻くプレートとプレートの境界面は、地球深部へ通じる覗き窓であり,また地球の表層と深部とをつなぐ化学物質の通り道として重要な存在である。深海底の発散的プレート境界(中央海嶺)や収束的プレート境界(沈み込み帯)では、海底からの湧水が世界各地で多数観測され,それらの化学組成は海水と明らかに異なることが確認されている。しかし、これらの湧水による化学フラックスやその時間変動については解明が遅れている。湧水を化学的に特徴づける有効なトレーサーとして、湧水に含まれるメタン・ヘリウム・二酸化炭素等の溶存ガス成分がある。本研究はこれらのガス成分に注目し,他の化学成分データも適宜参照しながら,湧水中のガス成分の濃度,同位体比,起源,化学フラックスの時間変動などについて,多くの観測データと知見を得ることに成功した。沈み込み帯の冷湧水に関しては,本研究は日仏共同KAIKO-TOKAI5年計画(1993〜1997)の一環として実施され,海底直上海水や堆積物間隙水の採取とそれらの化学的性質の解明と解析を進めた。一方,発散的プレート境界(中央海嶺など)からの湧水(熱水)についても同様の観測研究を推進した。熱水活動による化学フラックスが大きな時空間変動を伴うことに鑑み,世界各地の代表的熱水活動域(東太平洋海膨,大西洋中央海嶺,インド洋中央海嶺,マヌス背弧海盆,マリアナトラフ,沖縄トラフ,明神海丘など)において調査を行い,グローバルな視点から熱水のサンプリングと化学分析を実施した。本研究の成果は,29編の原著論文等を通じて国内外の学界に公表されている。これらの成果や本研究で培われた手法をもとに,今後データの収集,解析および考察を進めることによって,海底ー海洋間の物質循環の定量的解明がさらに大きく進展すると期待される。
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