研究課題/領域番号 |
08454182
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中辻 博 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026211)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | 光合成反応 / 電子移動 / 励起状態 / SAC-CI法 / スペシャルペア- / 理論的ミューテーション / ポルフィリン化合物 / L鎖選択性 / 光合成反応中心 / 電子伝達メカニズム / ダイナミックス / SAC-CI / 電子移動速度 / SAC / 電子励起状態 / 励起スペクトル / 蛋白と色素の相互作用 / ポルフィリン |
研究概要 |
光合成反応における電子移動のメカニズムについて理論的に研究した。今年度は光合成反応中心の電子移動がL鎖選択的であることの理由を明らかにするとともに、我々の方法によって、反応中心や周辺蛋白の構造変化にともなう電子移動速度を予測するといった理論的ミューテーションの可能性を示した。 まず、光合成反応系の電子状態を記述するためにSAC/SAC-CI法を用いた。この方法は申請者が開発した基底状態および励起状態を高い信頼性をもって定量的に計算することのできる理論である。本研究期間において大規模な分子系の計算が可能となってきた。さらに、周辺蛋白のアミノ酸残基の位置に配した点電荷の作る静電場によって周辺蛋白の効果を導入した。 電子移動の要因となるトランスファー積分をSAC-CI波動関数を使って計算した。その結果、光合成反応中心のL鎖とM鎖を経由する電子移動には明らかな差が認められ、我々の方法はL鎖選択性を再現した。さらに、L鎖選択性が反応中心の構造に起因していることを示した。 次に、最近接ヘム(C-559)からスペシャルペア-への電子移動を検討した。周辺のアミノ酸残基も電子移動の経路として考慮した。その結果、ヘムから途中のアミノ酸残基を経由してスペシャルペア-へ至る電子移動のトランスファー積分が最大であることが明らかとなった。この結果は、途中のアミノ酸残基をもつ蛋白のミュテーションが効果的であることを示唆している。また、実験結果の存在するいくつかのモデル系において電子移動速度の実験値と理論的予測を対応させた結果、極めてよい対応を示しており、我々の方法によって理論的ミュテーションが可能であることが示された。
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