研究概要 |
La_2NiO_<4+δ>およびLa_2CuO_<4+δ>結晶は高温でともにK_2NiF_4構造を持ち,過剰酸素を持つ後者結晶の低温相で超伝導性が見いだされている。両結晶は酸素組成に不定比性を示し,過剰酸素の平均組成,配置構造,さらに配置変化速度は超伝導性にも関連して興味深く,両結晶系の熱容量測定,抵抗率測定,熱電能測定等を行った。 1.13〜500Kの温度範囲で精密熱測定が可能な装置を製作した。 2.Ni系δ=0.00結晶では,Ni原子の電子スピン間相互作用が二次元的であることを示すとともに,80Kと120Kの相転移が整合〜不整合〜超格子整合相転移である可能性を指摘した。0.047<δ<0.150結晶では,その熱測定に基づき単結晶および粉末結晶のδ〜T相関係を明らかにし,結晶粒径の違いにより実現する相関系が異なる可能性を指摘した。δ=0.07および0.10付近に安定な化合物が存在し,δが異なる化合物間で共析あるいは包析現象を与えることを見いだした。また,過剰酸素の長距離的な拡散過程の凍結に基づくガラス転移を見いだした。 3.Cu系では,0<δ<0.035結晶において320K以下に3つの構造相転移を見いだした。過剰酸素組成の相分離はより高温で進行し,これらの構造相転移はCuO_6八面体の傾きに基づくものであり,相転移挙動に界面エネルギーが重要な役割を果たすことを指摘した。δ〜0.05結晶では150〜200Kの温度範囲でガラス転移に基づく自発的なエンタルピー緩和を観測した。その温度範囲は狭く,相分離過程とは異なるものと解釈した。 4.上記結晶はn層のペロブスカイト構造をもつ層とLaO層からなる一連の(LaMO_3)_nLaO_<1+δ>;M=Ni,Cu化合物のうちn=1に対応する。n=2,∞結晶についても研究を進めた。
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