研究課題/領域番号 |
08454217
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 昭子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50011705)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1996年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 分子性超伝導体 / 相図 / BETS / 有機超伝導体 |
研究概要 |
平成8年度には(1)一連のBETS(=bis(ethylenedithio)tetraselenafulvalene)混合ハロゲン化カリウム塩λ-(BETS)2GaCl4-xYx(0<x<4; Y=F,Cl,Br)は、アニオンサイズを小さくしていくと加圧した場合と同様な変化を一気圧下で再現し一連の超伝導体を与える。(2)λ-(BETS)2GaCl_<2.5>Br_<1.5>常圧下において絶縁体であるが、加圧することによって超伝導が出現する。この物質は超伝導相近くに位置する絶縁相と考えられるが、同様に絶縁相が超伝導相に隣接するTMTSF塩、κ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Cl等とは異なり、磁化率の測定からこの物質の低温相は非磁性である可能性があることを明らかにした。理論的にこの物質はスピンギャプ相と反強磁性相との境界にある可能性が指摘されており、低温相の基底状態に興味がもたれている。本年はこの非磁性相について、更に検討をおこなった。^1H-NMRの測定から低温で2nd moment(線幅に対応)がわずかに増大したが、局在スピン系と考えられるようなκ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Clの2nd momentような顕著な増加は観測されなかった。また25K-2Kの温度範囲で、磁気秩序の形成時に特徴的な1/T_1の発散はみられなかった。従ってこの相は反強磁性相ではなく非磁性相であると結論される。 λ-(BETS)_2GaBr_4はλ-(BETS)_2CaCl_4と類似の4倍周期構造をとるが伝導度は50Kまでnarrow-gap半導体的な振る舞いをし、50Kで絶縁体に転移をすることが明らかになった。磁化率は約60Kで反強磁性に転移する事を示した。このように高い反強磁性転移をする有機物は珍しく、交換相互作用が大きいことを示しており、酸化物超伝導との関連からも興味深い。
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