研究概要 |
1.イオノフォア含有液膜の界面電位と界面電荷密度の関係を定量的に調べる方法として,光応答性イオノフォアを分子プローブとして利用することを提案し,光で誘起された膜電位の絶対値及び電位応答勾配の変化量を,拡散電気二重層に基づく界面モデルを用いて定量的に説明した.(Anal.Chem.,69,3360-3369(1997)) 2.レーザー光第二高調波発生法(SHG)を用いて,液膜中の脂溶性イオンの役割を調べた.脂溶性イオンを含まない液膜は目的イオンに対して電位応答もSHG応答も示さず,膜界面の電荷分離の大きさが水溶液中の目的イオン濃度が変化しても変わらないことを明らかにした.(Anal.Chem.,69,1919-1924(1997)) 3.リジッドなキサンテン骨格と二つのチオウレア部位をもつレセプターを合成した.このレセプターはリン酸イオンと選択的に錯体を形成し,その錯体安定度定数はこれまで報告されている電荷中性のリン酸イオンレセプターの中で最大である.このキサンテン骨格をもつビスチオウレアレセプターに基づくイオン選択性電極は,血清中の塩化物イオンの定量が可能である.(Anal.Chem.,69,1038-1044(1997)),Tetrahedron,53,1647-1654(1997)) 4.グアノシンヌクレオチドと5本の水素結合を介して結合する水素結合レセプターを開発した.この水素結合レセプターに基づく液膜はグアノシンヌクレオチドとアデノシンヌクレオチドを電位応答識別できる.(Anal.Chem.Acta,341,129-139(1997)) 5.m-キシレン骨格をもつビスチオウレアレセプターを開発した.このレセプターに基づく液膜は硫酸イオンに対し10^<-6>M-10^<-2>Mの濃度範囲で電位応答を示し,硫酸イオンに対する選択性はこれまで報告された硫酸イオン選択性電極の中で最も優れている.(Anal.Chim.Acta,358,35-44(1998))
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