研究概要 |
本研究では,アリ植物マカランガ属と,その幹内部に巣を作って棲みつくシリアゲアリ属との間にみられる種特異性の解明,および両グループの系統樹の比較をおこなった.成果として,以下の諸点が明らかになった. 1.アリ植物マカランガ属に棲みこんでいるシリアゲアリ属の3形態種は,DNAレベルでは,9タイプ(9種)にはっきりと区別することができた. 2.マカランガ属9種とシリアゲアリ属9種との間には,非常に種特異的な1対1の対応関係がみられた. 3.アリ9種の分子系統樹と植物9種の形態系統樹とをつき合わせた結果,両者はほぼ完全に一致した. 4.以上の結果から,東南アジア熱帯における代表的なアリ植物マカランガ属とアリは,共種分化によって相互適応してきたことが判明した.
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