研究課題/領域番号 |
08454258
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物生理
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
林 秀則 愛媛大学, 理学部, 教授 (60124682)
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研究分担者 |
大政 謙次 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (70109908)
森田 勇人 愛媛大学, 理学部, 助手 (50274303)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
1997年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1996年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | 塩耐性 / 低温耐性 / 適合溶質 / グリシンベタイン / コリンオキシダーゼ / 遺伝子組換え / シロイヌナズナ / 形質転換植物 / 適合溶質形 / 遺伝子組替え |
研究概要 |
塩耐性植物は塩ストレスを受けると、適合溶質と呼ばれる化合物を合成し、細胞内の浸透圧を調節する。その遺伝子操作は植物の塩耐性を増大させ、環境ストレスに強い農作物作製への応用が期待されている(第1章)。グリシンベタインも適合溶質の一つであり、浸透圧調節、タンパク質の変性の抑制、光合成活性の安定化に効果があると考えられている(第2章)。本研究計画では土壌細菌、Arthrobacter globiformisのグリシンベタイン合成酵素、コリンオキシダーゼの遺伝子をシロイヌナズナに導入し、この形質転換植物におけるストレス応答を解析した。得られた形質転換体では発現したコリンオキシダーゼの大部分が葉緑体に局在し、また生葉1gあたり1μmoleのベタインが蓄積していた。この形質転換体は100mMのNaClを含む培地上で発芽し、生育を続けた。また通常の栄養塩で水耕によって生育させた後200mM NaClを含む溶液に移した場合、野生株は数日後に枯死したが、形質転換体は生存を続けた。400mM NaClを含む溶液で48時間処理した場合、野生株では光化学系II活性が10%以下に減少したのに対し、形質転換体では50%以上活性が残っていた。低温環境(5°C)おける発芽と生長は野生株よりもグリシンベタインを蓄積した形質転換体の方が速かった。また形質転換体の種子は吸水時の低温ストレスに対し、発芽、生長とも野生株に比べ、耐性を示した。種子を低温ストレス下で発芽させた場合、形質転換体の種子の方が野生株の種子より早く発芽し、発芽後の成長も速く、種子におけるグリシンベタインの蓄積が低温耐性を増大させていることが明らかになった。このようにコリンオキシダーゼ遺伝子の導入により、植物体としての塩ストレス耐性が改善されたのみならず、光合成の塩ストレスに対する耐性、生長時、発芽時、種子の吸水時における低温耐性も増大することが明らかとなった(第3章)。
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