研究課題/領域番号 |
08454278
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類学(含生理人類学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西田 利貞 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011647)
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研究分担者 |
黒田 末寿 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80153419)
五百部 裕 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20252413)
加納 隆至 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40045050)
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | チンパンジー / ボノボ / 映像エソグラム / 文化 / 共通祖先 / 比較法 / 毛づくろい / 性行動 / Chimpanzee / bonobo / ethogram / audio-visual ethogro / cultuse / Commurication |
研究概要 |
チンパンジー属(チンパンジーとボノボ)の行動単位の包括的なリスト(種エソグラム)を、映像エソグラム(行動単位をビデオ画像の一覧としてまとめる)として作成することは、チンパンジー属の文化の研究と、両種の行動比較、ひいてはヒトとチンパンジー属の最後の共通祖先の行動パターンを知る上に欠かせない。今回のエソグラム作成過程によって次の点があきらかになった。(1)ギニアとタンザニアのチンパンジーの間では、道具使用行動のレパートリーに少なくとも6つの相違があった。(2)チンパンジーとボノボの間では毛づくろい、性行動、と安心付与行動に顕著な相違が発見された。毛づくろいには、ボノボには3頭以上の同時社会的毛づくろいも同時相互毛づくろいもほとんどない、ボノボでは互恵的毛づくろいの役割交代は非常にスムーズに起こる、ボノボは太股を毛づくろいされるときチンパンジーのように仰向けにならず座ったまま脚を挙げることが多い、ボノボは場所を替えて毛づくろいを続けるために、頭あるいは頭髪を片手で引っ張って移動する、ボノボは相手の腕を垂直に挙げて毛づくろいすることが多い、など。性行動では、ボノボの赤ん坊は母親の交尾の邪魔をしない、ボノボの大人オスは大人メスに対し性器検査をしない、チンパンジーのスラストはボノボよりゆっくりである、ボノボには交尾後のダ-トはない、ボノボの交尾時の金切り声はきわめて耳障りである、などがある。安心付与行動では、安心付与のマウンテイングはボノボになし、ボノボでは大人のオス・メスが他のオスの陰嚢を握ることはない、ボノボはなま咬みをしない、ボノボの大人オス同士はオープンマウスキスをしない、などがあった。以上は、いまだ意味づけは十分にはできていないが、すべて新発見であり、映像エソグラムによる種間・個体群間比較がいかに有用であるかを証明したといえる。
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