研究概要 |
本研究では,広帯域広開口角圧電高分子膜超音波センサーとデジタル超音波装置を用いて,水浸法により漏洩レーリー波,クリーピング波,表面SV波信号を収録し,それらの伝播速度及び減衰を時間領域で高精度測定するシステムを構築し,表面層の材料特性,疲労の進行に伴う表面微視亀裂,さらに表面層の応力を非破壊的に測定する方法を確立することを目的とした.研究で得られた主な結果を以下に示す. (1)広帯域PVDF超音波探触子と研究代表者らが開発したデジタル超音波測定装置を組合わせ,漏洩レーリー波,クリーピング波,表面SV波速度及び漏洩レーリー波の減衰を高精度で測定するシステムを開発した.これと10MHzの探触子を用いて,溶融石英に対し上記速度を相対精密度(標準偏差/平均値)0.015,0.03,0.018%を達成した. (2)漏洩レーリー波,クリーピング波,表面SV波速度及び漏洩レーリー波の減衰を用いて,溶融石英・アルミニウム合金の表面層の密度を10%以内の誤差で推定した. (3)アルミニウム合金の負荷及びそれと直交方向の表面波の音弾性定数が-23,-9x10^<-6>/MPaであることを明らかにした. (4)表面に窒化チタニウム薄膜コーティングした炭化タングステンの漏洩レーリー波速度分散を測定し,2層構造を伝播する波動理論を用いて薄膜の弾性係数が約400GPaであると推定した. (5)有限要素法を用いて,線集束超音波センサーで励起された各種表面波の伝播シミュレーションを行い,それにより計算された漏洩レーリー波速度及び減衰,さらにクリーピング波速度は2%以内で測定値と一致することを明らかにした.
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