研究概要 |
本研究では,一様な連続物質と異なり,その内部に微小欠陥,微小亀裂,非一様性など微小組織が存在する凝集物質のメゾスケールでの衝撃現象を明らかにすることを目的としている. 本年度では前年度に引き続いて, 【1】セル構造を有する代表的な物質として,人工的で規則的なセル構造を有するアルミニウムハニカム,植物セルを有するバルサ材の衝撃荷重下における弾塑性的挙動および破壊機構, 【2】非一様媒質の一つとして,磁性体微粒子が液体中に分散された固液二相であり,磁場の作用下で特異な振舞いをする磁性流体中の衝撃波伝播, 【3】気体・液体・固体相間を容易に相変化し,比較的大きな二酸化炭素結晶組織をするドライアイスの衝撃挙動, 【4】極低温環境下における,高炭素鋼およびアルミニウム合金の超高速脆性破壊挙動 についての研究を実施した. 研究手法としては,固体材料については材料強度を考慮しつつ,ホプキンソン棒法やマイクロガス銃による比較的低い応力域での衝撃実験,および単段式ガス銃または二段式軽ガス銃などを用いた高応力域での衝撃衝撃実験を行った.また,磁性流体については衝撃波管を用いた実験を行った.そこで発生する弾塑性変形挙動,応力波および衝撃波の伝播挙動を測定するとともに,破壊様式や材料組織変化を高速度写真,光学顕微鏡および走査電子顕微鏡などによって詳しく観察した.いずれの場合にも,微小なセル状組織や非一様な組織に基づく特異な衝撃現象を示すことが見いだされ,今後の更に詳細な研究への指針を得た.
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