研究概要 |
低燃費のために,自動車の歯車装置の重量を大幅に低減することが緊急の課題になっている.しかし軽量化は振動・騒音増加の方向に作用する.そこで低振動低騒音の歯車装置を得るためには,歯車以外の部位を低振動化のために積極的に活用する設計法を開発することが不可欠である. 歯車装置の構成要素の中で転がり軸受は,外輪に対し内輪,転動体が別々に回転する構造上,歯車装置運転中のばねこわさ,減衰等の同定が困難であるが,これらについて十分な研究はなされていなかった.しかし,技術の進歩により歯車のかみあい部で発生する振動が低減されてきた結果,軸受部が歯車装置全体の振動挙動に及ぼす影響も相対的に無視できないものとなってきている.そこで本研究では,特に転がり軸受に注目して,歯車系の振動挙動に及ぼす影響を調査した. 具体的には,1対のはすば歯車からなる試験歯車装置における歯車周辺の4ヶ所の軸受部を深溝玉軸受,アンギュラ玉軸受,円筒ころ軸受の3形式から選択した計7種類の軸受配列について詳細な振動挙動の測定を行った.また各軸受配列について,軸受部がすきまばめの時としまりばめの時のそれぞれについて振動計測を行い,はめあいが歯車系の振動挙動に及ぼす影響についても検討した. 以上の実験の結果と数値回析の結果から,軸受部が歯車装置の振動挙動に及ぼす影響を明らかにし,歯車装置の低振動設計法を開発するための基礎を確立した.
|