研究概要 |
O_2のLIPFによる高エンタルピ空気流の計測システムを構築し,O_2の励起には広帯域のエキシマレーザー(ArF:193nm),蛍光の検出には分光器およびマルチチャンネル測光システムを用い,広帯域の蛍光スペクトルの一括計測を可能にした.一般にLIFを利用して温度を計測するには,蛍光強度が温度と密度に依存するため,密度の影響を取り除くか別の方法で密度を計測する必要がある.これまでに報告されている広帯域レーザーを利用したO_2のLIPFによる温度計測では,密度の影響を除去するために,圧力一定の流れ場に限定したり,Rayleigh散乱と組み合わせて温度が計測されているが,いずれも蛍光スペクトルに基づいていないために計測精度は十分ではない.本研究では,上記のシステムを利用して,蛍光スペクトルの2つの波長域の積分強度比から温度が計測できることを理論的に明らかにし,実験によりその妥当性を検証した.実験では,1200Kまで温度調節可能な電気炉を製作し,熱電対で計測した温度との比較から温度計測精度も評価した.また,蛍光スペクトルの2つの波長域の積分強度を2つのフィルタにより分離して冷却型超高感度CCDカメラにより計測することで,この温度計測法を2次元計測へ拡張し,高温空気流の温度計測に適用した.高エンタルピ空気流発生装置として,電気ト-チを組み込んだ噴流発生装置を製作した.温度は1000Kまで調整可能である.上記の温度計測システムを利用して,大気中に噴出する空気噴流の温度計測実験を行い,±50Kの精度で2次元計測が可能であることを確認した.
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