研究概要 |
半導体露光装置,電子顕微鏡,カラープリンタ等の精密機器,大型宇宙構造物などの構造体における微振動の問題を解決することが大きな課題になっている.その振動による悪影響を除去する方策としては,つぎの3つが考えられる. ・振動源を除去することを含め,振動源で振動を抑制する. ・振動源からの振動伝達を減ずるために,パッシブな絶縁材またはアクティブな除振装置を挿入する.または,振動伝達経路の構造を変更する. ・振動の影響を受ける装置,または振動源を含めたシステム全体に制御をほどこし,振動抑制をする. 本研究では,振動源対策として,まず,精密機器を設置環境の床振動から絶縁するアクティブ除振台を対象に,台上の機器自身が発生する直動外乱の影響を打ち消すための入力の計算方法を与えている.また,一般の多軸同期システムを対象に,振動の励起を抑えながら高速かつ高精度な機器動作をさせる最適指令値生成法を提案している. 振動伝達低減のためには,まず,アクティブ除振台の性能向上のためのフィードバック制御として,H_∞制御の適用を考えている.システム同定により並進と回転の6軸間の達成の大きさを評価して,達成の強い部分ごとに分散的に制御することを提案し,コントローラの次元が大きくなることを防いでいる.また,一般の構造物を対象に,その振動伝達特性をH_∞ノルムで評価して,それを低減する構造の形状の設計法を与えている.さらに,制御による制振効果を加えるため,制御系と構造系の統合設計法を与えている. 振動抑制制御としては,機械システムでよく見られるセンサ/アクチュエータ・コロケーション(センサとアクチュエータの同位置,同方向配置)のもとでの変位と速度の静的フィードバックと,変位の簡単な動的フィードバックの最適化による応答性能の向上を提案している.
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