| 研究概要 |
(1) 銀シースBi系テープ線材の作製と交流通電損失の測定
銀シースBi系超電導テープ線材の交流通電損失の振舞いが,交流磁界下での磁気損失とは様相を異にすることを見出した。具体的には,超電導単芯テープ及びツイスト無し多芯テープの交流通電損失について研究を進め,通電損失はヒステリシス損失を起源とするが,損失値は超電導体の形状や芯数には殆ど影響されず,線材の臨界電流により定まることを示した。さらに,ツイスト加工を施した銀シース多芯テープを作製し.ツイストが通電損失に及ぼす影響を研究した。その結果,通電損失はツイスト無し多芯テープの損失とほぼ同様に振舞い.ツイスト加工の有無や芯数には影響されないことを明らかにした。
(2) 超電導線材の交流通電損失に対する数値計算法の開発
従来,超電導体の交流損失の評価は,測定と解析的な計算による理論研究が行われてきた。しかし,実際に超電導理論(臨界状態モデル)を用いて解析的な解が得られるのは、単純断面形状の超電導体だけであり.複雑な断面形状を持つ線材(特に多芯線)の場合には,交流通電損失を計算する方法は存在しなかった。そこで我々は,任意断面形状を持つ超電導線材の交流通電(任意交流振幅)における電磁界分布を計算し,電磁界分布から超電導体内部での交流損失分布及び損失絶対値を求める方法を開発した。この方法を用いて,銀シース多芯テープ線材における損失の振舞いを計算し,実験結果との良い一致を見た。
(3) 超電導テープ素線を用いた単層パワーケーブルの交流通電損失解析
超電導テープ素線を用いたパワーケーブルの交流通電損失の解析を行った。テープ素線をフォーマー上に平行配置した単層超電導パワーケーブルの交流通電損失の振舞いを数値計算により求め,ケーブル内部での電流や自己磁界分布が損失に及ぼす影響を明らかにした。電流振幅を種々変化させて計算を行い,素線間ギャップをパラメタとして計算を進め,ケーブル内部の損失発生状況が素線配置によって変化する様を解明した。
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