研究概要 |
本研究では、単体MOSデバイスの寄生抵抗低減プロセスとして、個別の選択Al-CVD技術、瞬時加熱型熱処理(RTA)技術を統合した「完全自己整合メタライゼーション技術」を確立し、0.1um超高速MOSデバイス作製の基礎を築く事を目指した。 (1) 低温N2プラズマによる自己整合バリア形成技術:高速微細MOSデバイスにおけるコンタクト抵抗低減のため、TiSi2を用いてゲート・ソース/ドレイン上で自己整合的にシリサイド化を行うTiサリサイド技術を確立し,さらにAl/Siの相互拡散を抑えるアモルファスバリア層(TiSiN層)を,窒素プラズマによるシリサイド表面窒化により自己整合的に形成する方法を確立した。バリア膜の組成、構造等を解析し、厚さ約10nmの極薄アモルファスバリア層が形成されている事、熱処理耐性、低コンタクト抵抗である事を確認した。 (2) 選択Al-CVD技術:TiSiNバリア形成後,引き続き同一チャンバー内で選択Al CVDを行う事により,Si/TiSi2/TiSiN/Al構造を実現した。バリア形成後,真空を破る事なく,連続的にCVD-Al堆積が可能となった為,下地膜表面自然酸化膜の影響のない極薄且つ平坦なAl膜の堆積が実現できる事を確認した。 (3) 完全自己整合メタライゼーションMOSFETにおける寄生抵抗低減の効果をシミュレーションにより解析し、特に、電流駆動力を要するGHz帯シリコンアナログRF素子において、選択CVD-Alを用いる事で従来構造デバイスに比較して数倍の高周波特性改善効果がある事を高周波シミュレーションにより確認した。携帯電話用高効率RF-CMOSアンプの構成を検討した。 以上,本研究により「完全自己整合メタライゼーション技術」確立の見通しは得られた。
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