研究概要 |
本研究では実装技術としてのVLSI化設計を視野の中心に据えた,次世代の映像伝送,圧縮技法の研究を目的に,ディジタル動画像の圧縮・復元処理および伝送用適用フィルタ処理に対する新しいVLSI向きアーキテクチャの開発とVLSI化設計を行なった.具体的な成果は以下のとおりである. 1.MPEG2動画像符号化/復号化のVLSI設計 MPEG2 HDTVレベルの圧縮符号化・復号化システムのアーキテクチャの開発とそのVLSI化設計を行なった.符号化/復号化処理の各過程をそれぞれ専用の演算モジュールで担当し,データ転送が最適に行なえるネットワーク/記憶構成をとることにより,飛躍的な性能向上を達成した.動き予測,可変長符号処理,離散コサイン変換,量子化,メモリーインタフェースなどの各モジュール,およびこれらを制御する制御部のVLSI設計を行なった.レイアウト設計までを行ない,これらの機能を2チップで実現することができた. 2.映像伝送用ディジタルフィルタのVLSI設計 ディジタル映像伝送用のフィルタに特化した新しい乗算器のアーキテクチャと,これを用いたフィルタのアーキテクチャの開発を行なった.乗算の精度が8-12bitであることや,乗数の一方はプログラマブルであれば固定であっても良いことを利用した新しい乗算方式に基づき,FIRフィルタのVLSI化設計を行なった.1チップに11タップ程度を集積し,シミュレーションで100MHzで動作させることを確認できた. 3.ディジタル信号処理プロセッサの高位合成システムの試作(石浦) 繰り返しや条件分岐を含むCプログラムから論理合成可能なレジスタ転送レベルのVHDL記述を合成するシステムを試作した.楕円フィルタ,エッジ検出フィルタ,MPEGのサブバンド合成部などの回路について,C言語による記述からVHDLを生成し,さらに,市販の論理合成,自動配置配線ツールを用いてこれからVLSIのレイアウトを得ることができた.
|