配分額 *注記 |
8,600千円 (直接経費: 8,600千円)
1998年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1996年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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研究概要 |
人工基底膜型センサ・アクチュエータとは,人間の聴覚器の蝸牛基底膜の周波数分解構造の意義を種々の側面からモデル化し,このモデルの一般化と電気機械系の相似原理の適用によって実現される,高性能なセンサとアクチュエータのことである.本研究は,その実現のための理論構築と基礎実験を目的とし,具体的には, 1. 蝸牛基底膜を相互作用をもつ共振体アレイとしてモデル化し,電気機械的アナロジーに基づき,音場のセンシングと周波数選択の力学機構として,ばねと質量からなる2次系集合体モデルを構築すること, 2. 隣接要素間に適切な相互作用を与えることで音響信号の移送と授受の場を形成すること、 3. これらを半導体微細加工技術により試作し,基本性能の確認と,音響センサと機械的アクチュエータへの応用を試みることを行った. 研究期間(3年)の成果概要は以下の通りである. 1. エネルギー流の考え方に基づく基底膜理論の構築. 共振体アレイのセンサとしての最適構造,およびアクチュエータとしての最適構造を決定するための基礎理論を得た. 2. 半導体微細加工による共振体アレイ構造の作成と実験. シリコン基板から平板状にバネ-質量系を構成し,フィッシュボーン構造として提案した.これらが相互作用するようにアレイ状に配置し,理論通りの相互作用を確認した.またアクチュエータとして,振動エネルギーの間歇的出力実験を行い,共振体へのエネルギーの蓄積と放出の現象を確認した.さらに振動センサと振動アクチュエータとして,静電容量法,ピエゾ抵抗法を提案し,マイクロフォンとしての実用的な振動変換機能を確認した. 我々の最終目標は,シリコン微細加工技術を用いた超小型補聴器の実現である.本研究による上記のような基本原理と設計原理との確立によって,外部への試作依頼が十分な信頼性をもって可能になる段階に到達し得たものと考えている.
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