研究概要 |
本研究は,コンクリートの高性能化および産業副産物の有効利用の観点から,高炉スラグ微粉末,フライアッシュおよびシリカフューム等の無機系微粒子材料を用いたコンクリートの高性能化について,材料および物性の両側面から総合的な評価を行ったものである。 本研究を通じて得られた主な所見を以下に示す。 (1)無機系微粒子を用いたフレッシュモルタルの流動性に関する検討においては,粉体の粒度特性を種々変化させ,高流動コンクリートの性状に大きな影響を与えるモルタル部分の塑性粘度および降状値について,その変化を把握することにより,塑性粘度および降伏値に影響を与える要因について検討を行った。その結果,モルタルの降伏値は余剰水量を支配するn値の影響を大きく受けること,塑性粘度はブレーン比表面積の影響を受け,それは余剰水膜圧と高性能減水剤の吸着量の複合効果によることなどを明らかにした。 (2)各種混和材の混合使用に関する検討においては,フライアッシュとシリカフュームを混合使用した場合,(1)水結合材比が0.3程度以下の配合条件においては,高性能AE減水剤を用いることにより,高い流動性を持つコンクリートを製造することが可能であること,(2)長期材齢においては,混和材を用いない普通コンクリートよりも高強度が得られること,などを明らかにした。 (3)その他の無機系微粒子材料コンクリートへの適用可能性に関する検討においては,雲山普賢岳およびフィリピンピナツボ火山よりそれぞれ採取された火山灰を用いたモルタルを作製し,その流動性ならびに硬化体の強度特性を測定した。その結果,火山灰の材料的性質は,採取地によらず,フライアッシュに近似した化学組成を持つこと,セメントを火山灰で 10%程度置換した場合のモルタルの流動性ならびに強度特性は,フライアッシュを 25%程度置換したモルタルのものとほぼ同等であることなどを明らかにした。
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