研究概要 |
本研究は,阪神・淡路大震災において土木構造物の被害に顕著に現れたような,せん断破壊に注目し,地震衝撃力に対する脆性的な構造部材の動的耐荷力,衝撃破壊過程およびメカニズムを,せん断力の効果を考慮しながら解明することを目的とした. その結果,以下のような研究成果が得られた. (1) 横衝撃を受ける脆性はりの破壊過程について 動光弾性実験を行った結果,初期破壊は,曲げ波の往復に伴って増加する応力拡大係数が動的破壊靱性に達して開始するが,はり下縁からはり軸に直角に進展してきたき裂は,はり高中央付近から曲げ波の伝播によるはり内のせん断応力によってはり軸方向へ曲進する.このときの曲進方向は,直進中のき裂を挟む両側に存在する曲げがより大きい方向であり,衝撃力の作用位置には無関係である.このときのせん断力の効果は,曲げ区間に対してき裂先端を一方の支点と考えた場合の支点反力と同等である. (2) 横衝撃力を受けるRCはりの破壊について RCはり模型に対する落錘衝撃実験を行った結果,せん断力の効果が顕著に現れるように,はりスパンの1/4点を衝撃した場合は,せん断力の効果で衝撃断面付近が押し抜きせん断的に破壊され,はり中央を衝撃した場合の破壊過程および破壊形式と異なる.また,一般に,曲げ波の伝播によってはり上縁にも亀裂が発生するから,静的破壊過程のみを考慮するのでは不十分である. (3) 圧接鉄筋の引張り強度について わずかな酸化膜を残して圧接された鉄筋は,強度は正常に圧接された鉄筋と同じでも伸び能力が小さく,圧接面で極めて脆性的に破断する.
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