研究概要 |
本研究ではアクティブ制御の新しい方法を検討する.この制御方式の特徴は,検出された入力を判定して,制御力を算出するまでの処理時間が非常に短く,計算プログラムが極めて簡単で汎用性・頑健性にとみ,不規則な風荷重や地震荷重による不規則応答に対して適応性がよい点などがあげられる.また,対象とする実構造物の固有振動特性における不確実性に対する対処が,ファジィ制御によって可能にることもあげられる.一般的に,最適制御理論では構造物の状態に応じて理論的に求められた制御力をそのつど構造物に作用させて最適な制御効果をあげようとするものであるが,アクチュエータの特性によっては,理論通りの制御力を発生させることが技術的に困難である.このような場合,ファイジィ制御を用いれば,曖昧な形での制御力でも効率的な制御を行うことが可能となる. ここで,本研究では外力を風荷重と考え,風の短期的な将来の予測を行うことによって,ファジイアクティブ制御の精度を向上させることを試みた.具体的には,風速をカオス的挙動をする時系列データをみなし,この時系列データの短期予測を局所ファジィ再構成法を用いて,1ステップ先の風速を予測する.この予測値に基づき,ファジィ制御ルールを適用して制御力の決定を行う.そして,実際の風が発生すると同時に制御力を発生させ,構造物の振幅や加速度を軽減させることを考えている.さらに,本方法の有効性を確認するため,数値シミュレーションを実施した.具体的には,振動方程式をルンゲクッタ法により解くことによってシミュレーションを行った.
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