研究分担者 |
平石 哲也 運輸省港湾技術研究所, 水工部, 主任研究官
日向 博文 東京工業大学, 工学部, 助手 (70272680)
二瓶 泰雄 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (60262268)
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80201820)
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研究概要 |
本研究では,まず,この一般的波動理論体系の構築に向けて最も重要となる砕波の問題に焦点を当てて室内実験と数値解析を行った.その結果,砕波のメカニズムとして,波峯部近傍の圧力勾配が重要となり,砕波時点で∂p/∂zがほぼゼロになることを見出した.そしてこれを砕波指標として灘岡ら(1993〜7)の波動モデルに組み込み,一様斜面上の規則波の砕波水深を計算したところ,合田の経験的な砕波指標値とほぼ合致するシミュレーション結果が得られた.さらに,砕波後の波動モデルの開発に関して,水深積分型の乱流モデルと,上記の灘岡らの波動モデルおよび砕波指標を組み合わせた形のモデルを開発した.その際,任意地形上の非平衡乱流場をも解析可能なモデルとするすべく,乱流モデル構築の上で最も重要なポイントとなる,砕波前面での大規模渦生成に着目した乱れエネルギー生成項の定式化を行った. 一方,本研究のもう一つの大きな柱である,phase-averagedモデルの開発に関して,斜面上の一次元波動伝播を対象として基礎的な検討を行った.その結果,新たに導入した定式化方法により,Boussinesq方程式と上記の灘岡らの波動方程式の双方に対して,phase-averagedモデル化が可能であることが示され,数値計算によってその有効性が確認された.また,このphase-averagedモデルに基づいて,波群の伝播とそれに伴う長周期波の生成・伝播のシミュレーションを行うことに成功した。これに関連して,大港湾内外での長周期波の伝播特性を明らかにするために,鹿島港での多点同時波浪観測を実施し,解析を行った. さらに,実用上の応用として,越波による港内への波浪伝達の計算手法として,灘岡らの波動モデルの定式化法に基づいたモデルを開発し,その妥当性を室内実験で確認した。
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