研究概要 |
本研究の目標は,付着の3次元抵抗機構に基づき,適用範囲の広い付着強度算定式を理論的に導くことである。平成8年度は第一段階として,重ね継手の実験を行った。実験パラメータは,次の4項目とした。 (a)横補強筋比(0.3%と1.2%) (b)中子筋の有無 (c)横補強筋と主筋のあき (d)重ね長さ(主筋径の10倍と40倍) 第3のパラメータは,筆者の解析において中心的な役割を果たす三角梁の検証に特に重要であった。なぜなら,このようなあきを設ければ,三角梁の曲げ剛性と強度が上昇し,付着特性が向上するはずだからである。実験の結果,多くの試験体でほぼ予期したような三角梁が確認できた。しかし,補強筋間隔が狭い場合や,あきを設けた試験体では必ずしも三角梁が発生していなかった。また,あきを設けた試験体の強度は,予備計算で予期していたよりもかなり低かった。 平成9年度は,これらの原因究明を最大の課題とした。ボロノイ分割による剛体バネモデルで断面方向の解析を行い,局所的付着特性を得た。さらにこれを鉄筋の長さ方向に積分して付着強度を得るという改良を行った。改良した解析法でパラメータ解析を行い,筆者らの実験結果のみならず,既往の多くの実験結果との比較を行って,解析方法の妥当性を検証した。
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